2010年02月08日

原点

秋季大会の準備、家庭の事情などでしばらく更新を休んでおりましたが、またこのブログを再開したいと思います。

今日は原点に立ち返って、いつも以上に真面目な話です。
よく、トーストマスターズの会員の方から聞かれる、
「なぜクラブを作り続けているのか」
「なぜトーストマスターズの活動を広めようとしているのか」

ということについて、述べてみたいと思います。

理由を率直に申し上げますと、
「トーストマスターズは日本の学校教育などで一般的に足りないとされている部分を補う活動。トーストマスターズの教育機会の場を広く提供する側となることで、日本全体の持続的な幸せと繁栄に、ほんの少しでも貢献できると思うから」
です。何て大それた、と思われるかもしれませんが、トーストマスターズという草の根の活動は、いつかは「自然に」大樹となると私は信じています。

10年前の私は、日本を悲観し、将来は海外に本気で永住するつもりで留学し、実際に永住の一歩手前まで行きました。ところが意外にも、最後に選んだのは「日本」でした。

日本には、海外にない、あるいは日本を離れたからこそ感じられる、素晴らしいものがたくさんあります。よく言われるような、経済的豊かさや、優れた技術、美味しい食事だけではありません。他人への気遣い、環境への美意識、文化、言語。そして日本では空気のようにあると思われているかもしれない「平和」、その他、今思いつくだけでも何十個と挙げられます。
日本にいると当たり前のようで、実はそれがあるのはとても幸せなこと、と思えることがたくさんありました。実際に帰国してから、その享受だけでなく持続のために何らかの形で貢献したい、と思うようにもなりました。

10代の夢であった「海外永住」は思わぬ理由で夢だけに終わってしまいましたが、海外在住の体験は日本の良さを気づかせてくれ、そしてトーストマスターズにも出会わせてくれました。そして帰国直後に偶然、「まずは地元に恩返し」的な気持ちで立ちあげた武蔵小杉トーストマスターズクラブを皮切りに、「やりたかったこと」と「自分でもできること」が一致し、立ち上げ中の川崎トーストマスターズクラブまでの11のクラブ設立に至る、というのが経緯です。

さて、日本がグローバル化・フラット化する世界の中でも、日本の良いところを維持しながら、より一人でも多く幸せを感じられる社会となるために、もし一つ付け加えるとしたら何でしょうか。色々な意見があると思いますが、私は、「母国語および共通語(英語)でのコミュニケーション力と、リーダーシップ力(いわゆるソフトスキル)を誰もが上達できるような教育機会」が必要だと思っています。

これらのスキルの重要性については、多くの著作等で取り上げられていると認識していますので、細かくは割愛させていただきますが、「これからの時代、職業、年齢、性別などを問わず、いつでもどこでも確実に役立つ能力」の代表格といえば、この2つの能力ではないかと考えます。ところが、私たちは日本で、何らかのフォーマルかつ実践的な訓練の場が、義務教育であったでしょうか?

例えば北米では、パブリックスピーキングやディベートだけではなく、模擬選挙などを通して民主主義のあり方、組織の在り方など、小学校・中学校の段階から訓練する機会があります。読み書きや算数と同じように、インフラ的な位置づけで、基礎的なコミュニケーションやリーダーシップの教育が行われています。

このような教育は、私学などごく一部では日本にもあるかもしれません。しかし、誰でもそのような教育を受けられる公的な環境は、少なくとも今まではなかったのではないでしょうか。組織運営やコミュニケーションなどのテーマで、大人向けにもセミナーやスクールが存在していますが、経済的にかなり負担がかかります。「継続的に続けるにはハードルが高い」といって、代わりにトーストマスターズに見学に来られた方の話を、現実に私も多く聞いてきました。

コミュニケーションとリーダーシップの基本を学び実践する教育は、高いお金を払ってのみ受けられるものでもなく、あるいは特殊な仕事や社会的ステータスの人のみが受けるものでもなく、インフラレベルでの教育として、誰でも、どこでも受けられるものであってほしいと願っています。それを実現する、「一つの手段」がトーストマスターズです。

政治や宗教的な思想、特定団体との利害関係とは全く関係なく、純粋にニュートラルな市民活動であり趣味・楽しみとして、誰もが自発的に参加できる。そして何よりも、肩肘を張ることなく、一人一人が楽しく活動しながら、自然と目的を達成できるという、長年培われたラーニング・システムのもと成り立っている。その意味で、上記の課題をクリアできる理想の教育手段の一つだと考えます。だからこそ、私は日本にいる限り、この活動を広め続けていきたい、と強く思っています。

新聞やニュースでは、今日もネガティブな記事が溢れています。そのようなニュースばかりを見ると、さすがに日本の将来を悲観したくなる時があります。
しかし、その中で問題をつきつめていくと、「政治や学校教育だけのせいにするのではなく、コミュニケーションとリーダーシップ力の包括的な向上に少しでも市民レベルで関わることによって、ほんのちょっとでも改善・解決できることもあるのではないだろうか?」と考え、さらに多くの方にこの活動を知っていただければ、と一人のクラブビルダーとして思いを新たにする次第です。

posted by Ami Fujiyama, DTM at 22:30 | 神奈川 霧 | TrackBack(1) | 総合 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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